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考え事で眠れない?ベッドでの「反すう思考」を止める方法
はじめに
布団に入った途端、「今日あの発言はよかったのかな」、「明日のプレゼン、うまくいくかな」、「子どもの進路が心配…」。
日中は気にならなかった考えが、夜になると急に押し寄せてくる。そんな「ベッド反芻(ベッドでの考え事)」に悩む人は少なくありません。
反すう思考は、眠りを妨げる代表的な要因であり、ストレスや不安を慢性化させ、翌日の疲労感にもつながる「睡眠の敵」です。
今回は、反すう思考が起こる理由と、今日からできる改善テクニックを紹介したいと思います。
1. なぜ夜になると“考えすぎ”てしまうのか?
ではそもそも、なず夜になると人はついつい考えすぎになってしまうのでしょうか?
(1)脳が「振り返りモード」になりやすい時間帯
人間の脳は、
● 外界の刺激が減る
● スマホや仕事から離れる
● 体温が下がり始める
こうした夜の静かな環境になると、「内的思考」が活性化しやすくなります。特に、睡眠前は「デフォルトモードネットワーク(DMN)」と呼ばれる「ぼんやり思考の脳領域」が活発になりやすく、過去の失敗や未来の不安を思い出してしまう傾向があります。
(2)ストレスホルモンのリバウンド
日中は交感神経が優位で、緊張しているため悩みが表面化しにくいですが、夜になるとその緊張がゆるみ、押し込んでいた不安が出てきます。
(3)ベッドを「考え事の場所」と脳が学習してしまう
毎晩ベッドで悩み続けていると、脳は「ベッド=考える場所」と誤学習します。こうなると、布団に入った瞬間に自動的に反すう思考が始まる悪循環に。

2. ベッドでの考え事が睡眠に与える悪影響
ベッドで考えが止まらなくなると具体的にはどんな影響がでるのでしょうか?
● 入眠が遅くなる
交感神経が優位になり、心拍数が上がるため眠れなくなる。
● 夜中の覚醒が増える
考え事のせいで浅い睡眠が増え、疲れが取れにくくなる。
● 翌日の集中力が低下
脳が休めず、ミスやイライラが増える。
● 不安傾向を悪化させる
反すう思考自体がストレスホルモン(コルチゾール)を増やす。「よく眠れない → 不安が強くなる → さらに眠れない」という負のループに陥りやすくなります。
3. 今日からできるベッドでの「反すう思考ストップ」テクニック
①10分だけ書き出す思考の「外在化」
頭の中だけで考えると終わりがなくなります。紙に書くことで、脳は“もう処理した”と認識しやすくなります。
やり方:
ー 寝る1時間前にノートを開く
ー 「今気になっていること」を箇条書き
ー 解決はしなくてOK。書き出すだけで効果あり
これを「ジャーナリング」といい、睡眠改善効果が科学的に立証されています。
②【ベッドを“考え事禁止ゾーン”にする】刺激制御療法
睡眠専門医が使う認知行動療法(CBT-I)の技法です。
ルールはシンプル:
● ベッドは“眠る or リラックスする場所”以外の用途に使わない。
● 寝つけないときは一度ベッドを出て、別の部屋でリラックス行動(読書・深呼吸・ストレッチ)をします。
すると脳は徐々に「ベッド=眠るスイッチ」と再学習します。
③【呼吸法で脳を現在に戻す】
反すう思考は過去と未来に意識が飛んでいる状態です。呼吸を使うと、意識を“今ここ”に戻しやすくなります。
代表的な方法:
✔ 4-7-8呼吸(4秒吸う→7秒止める→8秒吐く)
✔ ボックス呼吸(吸う・止める・吐く・止めるを4秒ずつ)
呼吸が整うと、心拍数が落ち着き、反すう思考が弱まります。
④【ゆらぎ音・環境音を使う】
静かすぎるほど思考は暴走しやすくなります。
● ホワイトノイズ
● 雨音
● 波の音
● ヒーリングミュージック
こうした“ゆらぎ音”は、思考の暴走を和らげる効果があります。
⑤【翌日に回す「心配タスク」を作る】
寝る前に考えていることの多くは、実は翌日でも十分対処できます。「明日の○時にこれを考える」と決めてメモするだけで脳は安心し、考え事が減少します。これは「コーピングプラン」と呼ばれる心理技法です。

4. ベッドでの反すう思考がどうしても止まらない時のサイン
ただ、対策をしても下記の状態が続く場合は、睡眠障害や不安障害の可能性があるため、専門医や睡眠外来の相談が推奨されます。
● 毎晩1時間以上寝つけない
● 寝ても疲れがまったく取れない
● 日中に強い不安や憂うつが続く
● 仕事や家事に支障が出ている
睡眠はメンタルの最重要基盤であり、早めのケアが回復への近道です。
まとめ
ベッドでの考え事が止まらなくなる反すう思考は、“性格の問題”ではなく“脳の仕組み”によって起こる自然な現象です。しかし、
● 書き出す
● 呼吸を整える
● ベッドの用途を限定する
● 音を活用する
● 明日に回す「心配プラン」を作る
といった小さな習慣で、夜の思考暴走を止めることはできます。眠れない夜に悩み続ける必要はありません。今日からできる対策で、「安心して眠れる夜」を取り戻しましょう。
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参考文献・資料
- Nolen-Hoeksema, S. (2000). “The Role of Rumination in Depressive Disorders and Mixed Anxiety/Depressive Symptoms.”
- Ong, J.C. et al. “Cognitive Behavioral Therapy for Insomnia.”
- American Academy of Sleep Medicine “CBT-I Guidelines.”
- Harvard Health Publishing “Racing thoughts at night: Why they happen and how to calm them.”
- 日本睡眠学会「入眠困難と認知行動療法」

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