世界の睡眠事情:アメリカ~“眠らない国”から“眠りを科学する国”へ

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かつて眠らない国といわれていたアメリカは現在は?

こんにちは!「世界の睡眠事情」シリーズ、今回は今回は“世界一忙しい国”とも言われる アメリカ合衆国 に焦点を当てたいと思います。
かつてアメリカでは、「睡眠は怠け者のすること」「寝る時間があるなら働け」という価値観が根強くありました。
しかし近年、その意識は大きく変わりつつあるそう。
“Sleep is for the weak(眠るのは弱者)”から、“Sleep is power(睡眠こそ力)”へ。
アメリカは今、世界の中でもっとも睡眠を“科学的に捉えた国”へと変貌を遂げています。

1. 「眠らない国」だった時代

20世紀後半のアメリカは、まさに「Sleep Less, Work More(少しでも多く働け)」の時代でした。
起業家やエグゼクティブたちは「4時間睡眠で成功できる」と語り、スターバックスの24時間営業が都市を照らし続ける——そんな文化が当たり前でした。
しかしその裏で、不眠症やうつ病、生活習慣病が増加。
アメリカ疾病予防管理センター(CDC)は2016年の報告で、「成人の3人に1人が推奨睡眠時間(7時間以上)を取れていない」と発表しています。
まさに“眠らない国”は、“不眠に苦しむ国”へと変わっていったのです。

2. 科学が変えた「眠り」への意識

この流れを変えたのが、スタンフォード大学・ハーバード大学・NASA などによる睡眠研究の進展でした。
特にスタンフォード大学の睡眠学者・ウィリアム・デメント博士が提唱した「睡眠は健康の三本柱の一つ(栄養・運動・睡眠)」という考え方が全米の医療・教育・ビジネス界に広まり、アップルやGoogleが社員向けに「ナップルーム(仮眠室)」を設けるなど、「仮眠=効率アップの投資」として認識されるようになっていきました。
このようにアメリカの企業文化は、“寝る=サボる”から“寝る=生産性を高める手段” へと180度シフトしました。

3. 教育・社会に広がる「Sleep Revolution」

この動きは経済界だけでなく教育や社会分野にもひろがっていきました。
例えば、ティーンエイジャーの睡眠不足問題を受け、カリフォルニア州では2022年から 高校の始業時間を午前8時以降に遅らせる法律 が施行されました。
これは全米初の“睡眠を守るための教育法”であり、「若者の健康と学力を守るためには、十分な睡眠が不可欠」という科学的根拠に基づいています。
また、ニューヨークやシアトルなどの都市では「Sleep Awareness Week」や「National Sleep Foundation」が主催する啓発活動も活発に行われています。

4. “Sleep Economy”という新たな市場と睡眠テクノロジーの最前線

睡眠への関心の高まりは、「Sleep Economy」と呼ばれる巨大な産業も生み出しました。
現在、その市場規模は、2024年時点で 推定1,000億ドル超。
寝具メーカーだけでなく、アプリ、音楽、照明、ホテル業界までが「質の高い睡眠」をテーマにブランド化を進めています。
ハイエンドホテルでは「Sleep Concierge(睡眠コンシェルジュ)」を導入し、“眠る体験”そのものをラグジュアリー化する動きも広がっています。

その結果、今ではアメリカは「Sleep Tech(スリープテック)」分野の世界的リーダーとなっています。
Oura Ring:睡眠中の体温・心拍・レム/ノンレムを可視化
Eight Sleep:AIが温度調整するスマートマットレス
Calm / Headspace:瞑想・睡眠導入アプリ(世界1億DL超)
Apple Watch / Fitbit:睡眠ステージを自動記録
これらのテクノロジーは「データで眠りを最適化する」文化を生み出し、“眠りをマネジメントする時代” になったのです。

まとめ

かつてアメリカは「眠らない国」として象徴されていました。
しかし今では、「よく眠ることは成功への投資」 という新しい価値観が浸透しています。
● 睡眠は生産性・創造性・幸福度を高める「スキル」
● 科学・企業・教育が一体となり“睡眠革命”を推進
● 睡眠市場が経済の一部として発展
アメリカの変化は、世界に「眠りの意味」を問い直す大きなメッセージを投げかけています。
これからの時代、“どれだけ働くか”ではなく、“どれだけよく眠れるか” が問われるのかもしれません。

 

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参考文献・資料

  1. Centers for Disease Control and Prevention (CDC).
    1 in 3 adults don’t get enough sleep. (2016)
    https://www.cdc.gov/sleep/data_statistics.html
  2. National Sleep Foundation.
    Sleep in America® Poll 2023: Sleep Health and Society.
    https://www.thensf.org
  3. Walker, Matthew. Why We Sleep: Unlocking the Power of Sleep and Dreams. (2017, Scribner)
  4. Harvard Medical School – Division of Sleep Medicine.
    Healthy Sleep: Understanding the Science of Sleep.
    https://sleep.hms.harvard.edu
  5. Stanford University Sleep and Circadian Neurobiology Lab.
    Sleep and Performance Research. (2022)
  6. The New York Times.
    How Silicon Valley Turned Sleep Into the Ultimate Status Symbol. (2018)

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