世界の睡眠事情:タイ~暑さと仏教が育む、昼寝と食、タイ古式マッサージ

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高温多湿の気候と仏教的価値観が根づくタイの睡眠文化とは?

こんにちは!「世界の睡眠事情」シリーズ、今回は東南アジアの微笑みの国——タイに焦点を当てます。
常夏の気候と深く根づいた仏教思想が生み出したタイの睡眠文化は、「昼寝」と「静寂」という2つのキーワードに象徴されます。
日本の忙しい生活リズムとは異なる、ゆるやかで心穏やかな眠りのスタイルをのぞいてみましょう。

1. 暑さが生んだ“昼寝”と“食”の文化

タイでは年間を通して気温が30℃前後に達し、日中の外出や労働は体力的にも過酷です。
このため、午前中に仕事を集中させ、午後は短い昼寝を取る習慣が自然と根づきました。
夜も眠らない首都バンコクと違い、特に地方では、今でも昼食後に扇風機を回しながら床やハンモックで横になる光景が日常的。
屋台の店主、バイクタクシーの運転手、学校の先生まで、誰もが“昼寝上手”で、昼寝は“生きる知恵”として社会に受け入れられています。

また、高温多湿な気候のタイでは、辛い料理は体温調節に役立つと考えられています。
唐辛子などに含まれる カプサイシンで一時的に上昇した体温が、その後汗などで急激に下がるタイミングで眠気が生じると言われており、夕食に辛いものを食べると、ちょうど就寝時に体温が下がり始め、スムーズな入眠につながると言われています。

2. 仏教と“静けさの睡眠観”

タイの睡眠文化を語るうえで欠かせないのが、仏教の影響です。
国民の約9割が上座部仏教徒であり、「心の静寂=幸福」という価値観が生活のあらゆる場面に息づいています。
僧侶たちは早朝に托鉢を行い、日中は瞑想や読経に集中し、夜は早く床に就く。
修行中の睡眠時間は1日4〜6時間程度と短めですが、深い呼吸と瞑想によって脳が休息状態に入る事で、深刻な睡眠不足にはならないのだそうです。
一般の人々にとっても、「夜は静かに過ごす」「心を落ち着けて眠りにつく」という考え方が広く共有されています。

3. タイ式の“睡眠衛生”

ドイツのような科学的な「睡眠衛生」という言葉は使われませんが、タイにも独自の“快眠の知恵”が存在します。
代表的なものとしては、タイだけでなく東南アジアでは広く見られる習慣ですが、寝る前に冷たいシャワーで体温を下げる事で暑い夜でも心地よく入眠できるようにする、といった事が挙げられます。

また、タイ独特のものとしては、タイの健康文化を語るうえでも欠かせない タイ古式マッサージ(Nuad Thai)の存在 です。タイでは、寝つきが悪いときや疲労が溜まっているときに「夜にマッサージへ行く → よく眠れるようにする」という習慣が広く浸透しています。
タイ古式マッサージの施術を受ける上でのポイントは以下の3つです:
● 深い呼吸を促す
→ 副交感神経が優位になり、入眠がスムーズに
● 筋肉の緊張を緩め、体の巡りを改善
→ 肩こり・腰痛など“眠りの妨げ”の解消
● 瞑想に近いリラクゼーション効果
→ 不安やストレスが緩和

実際、2021年のチェンマイ大学の研究では、タイ古式マッサージ後に
ー 総睡眠時間が延長
ー 入眠潜時(寝つくまでの時間)が短縮
ー 睡眠の中断が減少
という効果が確認されています。

セラピストが手掌・肘・膝などを使い、“セン”と呼ばれるエネルギーラインをゆっくり伸ばしていく施術は、そのまま「瞑想の時間」となる人も多いそうです。つまり、タイ古式マッサージは、“体を整える”だけでなく“心を整えて眠りに導く療法” として、タイの睡眠文化の一部になっているのです。

4. 都市化と“睡眠格差”

一方で、バンコクなどの都市部では、夜更かしや睡眠不足の問題も深刻化しています。
特に若者の間ではスマホやSNSの利用、ナイトマーケット文化、深夜勤務の増加などが“現代的な眠れないタイ”を生み出しています。
タイ保健省の調査によると、バンコク在住の成人の約35%が「睡眠不足」を感じているとの結果も出ています。
そのため近年では、仏教寺院での「瞑想リトリート」や「睡眠ヨガ」など、“デジタル疲れを癒す新しい眠りのスタイル”が注目されています。

まとめ

タイの睡眠文化は、暑さという自然環境と、仏教の精神が融合した独自のスタイルです。寝る時間を削ってまで働くことを美徳とする文化はなく、「無理をしない」「今を生きる」という哲学が流れています。
● 日中の暑さを避ける“昼寝の知恵”
● 瞑想と静寂を重んじる“仏教的な眠り”
● タイ古式マッサージで“体と心を整える習慣”
科学的でもあり、精神的でもある—タイの「眠りの美学」には、現代人が忘れがちな“心の休息”のヒントが詰まっています。

 

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参考文献・資料

  1. Thai Ministry of Public Health.
    National Sleep Health Survey, Bangkok. (2023)
    https://www.moph.go.th
  2. Chulalongkorn University Sleep Research Center.
    Climate, Lifestyle, and Sleep Quality in Urban Thailand. (2022)
  3. Buddhist Health Foundation of Thailand.
    Mindfulness, Meditation, and Sleep Harmony. (2021)
  4. World Health Organization (WHO) – South-East Asia Office.
    Sleep and Mental Health in Hot Climate Countries. (2020)
  5. Bagngkok Post.
    Thailand’s nap culture: Finding calm in the chaos. (2023)

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