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無重力状態の睡眠はどんな感じ?
はじめに
私たちは当たり前ですが地球の「重力」がある中で眠っています。
布団に横になると体が沈み、支えられる感覚で安心して眠れる。これは重力がもたらす恩恵です。
では、重力がない宇宙空間では、人はどのように眠っているのでしょうか?
また、重力がない状態での睡眠は人体にどのような影響を及ぼすのでしょうか?
本記事では、国際宇宙ステーション(ISS)での睡眠研究を紹介しながら、重力と眠りの関係を掘り下げ、地上での快眠に役立つヒントを探りたいと思います!
1. 無重力下の睡眠はどんな感じ?
無重力状態では引っ張る力がない為、人も物も常にプカプカと浮いてしまいます。宇宙飛行士はベッドを使わず、寝袋に入り壁や天井に寝袋を固定して眠ります。
しかし、固定していても常に上下の感覚がなくフワフワ「浮いたまま眠る」状態に近いため、安心感を得にくいそうです。
NASAの飛行士は「体に圧力がかからないので落ち着かない」と語ることもあり、無重力の睡眠の質は地上とは大きく異なります。
2. 重力がない状態で眠る事による身体的変化
無重力状態で眠る宇宙飛行士はフワフワ浮いている感じがして落ち着かない=安心感を得にくいのは分かりましたが、重力がない状態で眠ることにより人体にはどのような影響があるのでしょうか?
姿勢の安定感の欠如
地上では重力によって「仰向け」「横向き」といった姿勢が自然に安定します。無重力では上下の感覚がなく、体が常に「浮いた状態」。
身体が落ち着かず、安心感が得にくい → 入眠障害や中途覚醒につながりやすくなります。
血流・体液分布の変化
無重力では体液が下半身に溜まらず、頭部に移動(頭部うっ血)します。これにより「顔がむくむ」「鼻づまりが起きやすい」などが報告されています。更に睡眠中もこの状態が続くため、呼吸がしづらい・いびきが出やすいなどの影響が考えられます。
呼吸リズムの変化
無重力では胸郭や横隔膜の位置が地上と異なり、呼吸のメカニクスが変化します。実験では「換気量が減少し、呼吸が浅くなる」傾向が観察されています。酸素・二酸化炭素バランスが微妙に崩れることで、眠りが浅くなったり不快感を伴うことがあります。
深部感覚(前庭系)の混乱
無重力では内耳の前庭器官(平衡感覚)が正常に機能せず、空間認識が乱れることがあります。「自分が上下逆さに寝ている感覚」や「体が回転しているような錯覚」を覚えることも。これが心理的不安につながり、睡眠の質を下げる要因になります。
成長ホルモン分泌・筋骨格系への影響
睡眠中に分泌される成長ホルモンや筋修復ホルモンは、重力負荷と結びついて作用する部分があります。無重力では筋肉や骨への刺激が少なく、睡眠による修復シグナルが弱まる可能性が指摘されています。実際に長期滞在では「筋萎縮・骨密度低下」が見られ、睡眠の質低下が複合的に影響していると考えられています。
3. 重力が地上での眠りに果たす役割
無重力状態での睡眠ではこんなにたくさんの身体的影響が出るんですね…。こういう視点から見ると地上での睡眠は:
圧力による安心感
布団やマットレスに支えられる圧力は「安心感」を与え、リラックスを促します。
呼吸と姿勢の安定
重力で横になることで内臓や胸の位置が安定し、呼吸も規則正しく整いやすくなります。
をもたらしてくれている事が分かります。
余談ですが、最近では長期宇宙滞在に向けて「人工重力」を作り出す研究が進んでいるそう。
遠心力を利用して重力を再現することで、睡眠の質を地上に近づけるのが狙いです。
もし実現すれば、宇宙での快眠環境は大きく改善されるでしょう。
4. 宇宙から学べる快眠のヒント
これらの事から学べる快眠のヒントとして
● 寝具選びは「支え」を意識:自分の体を適切に支えてくれる硬さ・高さが重要
● 内蔵や胸の位置が安定し、呼吸がしやすい姿勢での睡眠を心がける
● 睡眠優先の姿勢:NASAが睡眠を任務遂行の必須条件と位置づけるように、睡眠を「削るもの」ではなく「守るもの」と捉える
といった事が挙げられるでしょう。
まとめ
無重力の宇宙では「浮いたまま寝袋に固定して眠る」事により、眠りの浅さや様々な身体的悪影響が起こる、という事から地上における睡眠では重力が「安心感」「呼吸安定」を支えている、という事がわかりました。
宇宙研究の知見は、私たちの寝具選びや光環境調整にも応用可能。
「重力は眠りを支えるもう一つの布団」。
宇宙飛行士の体験は、私たちの快眠習慣を見直すヒントになります。
眠りを整えるためには寝具選びもとても重要です。
体に合ったマットレスや枕を使うことで、
睡眠の「質」はぐっと高まります。
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参考文献・資料
- NASA. Sleep in Space.
https://www.nasa.gov/hrp/elements/behavioral-health-and-performance/sleep-in-space/ NASA Johnson Space Center. Fatigue Management in Spaceflight.
https://www.nasa.gov/hrp/elements/behavioral-health-and-performance/fatigue-management/Dijk DJ, Neri DF, Wyatt JK, et al. Sleep, performance, circadian rhythms, and light-dark cycles during two space shuttle flights. Am J Physiol Regul Integr Comp Physiol. 2001;281(5):R1647–R1664.
Gundel A, Polyakov VV, Zulley J. The alteration of human sleep and circadian rhythms during spaceflight. J Sleep Res. 1997;6(1):1–8.
National Sleep Foundation. Sleeping in Space: What We Can Learn from Astronauts.
https://www.thensf.org/sleeping-in-space/日本宇宙フォーラム「宇宙と睡眠に関する研究」
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