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自然と共に眠る遊牧民のリズムとは?
はじめに
こんにちは。「世界の睡眠事情」シリーズ、今回はアフリカの大地、ケニアへ目を向けてみましょう。
ケニアには、マサイ族やサンブル族など、今なお遊牧的な生活を営む人々が多く存在します。
彼らの睡眠は、私たちが知る「夜に寝て朝に起きる」という時計的リズムとは異なり、太陽・月・自然の音・動物の気配に寄り添う“生きた睡眠リズム”に根ざしています。
1. “自然と共に眠る”という暮らし
ケニアの遊牧民にとって、1日のリズムを決めるのは時計ではなく自然のサイクルです。
日の出と共に活動を始め、太陽が最も強く照りつける正午前後は休息を取り、日没後に火を囲みながら語り合い、夜の静けさと共に眠りにつく。
照明も冷房もない環境の中、眠りの合図は“光”と“風”です。
昼夜の温度差や虫の声、遠くで鳴く家畜の音—そうした自然のリズムが、彼らの睡眠を包み込んでいます。

2.「多相睡眠」:分けて眠る文化
ケニアの牧畜民たちは、日中にも短い仮眠を取ります。
早朝から家畜の世話や移動で忙しいため、昼寝(Siesta)や夕方の短眠が日常に組み込まれているのです。このような睡眠スタイルは「多相睡眠」と呼ばれ、古代人類の睡眠パターンにも近いといわれます。
また、夜中に一度目を覚まし、焚き火を見守ったり、夜空を眺めたりするのも一般的。
まるで中世ヨーロッパの「二分割睡眠」に似た形で、“眠る”と“起きる”の境界が緩やかなのが特徴です。
3. 睡眠の安全と“共同体の夜”
遊牧民にとって、眠りは常に“リスクを伴う行為”でもあります。
野生動物から家畜を守るため、夜通し見張りを交代で行うのが慣例です。
そのため、全員が一斉に深く眠ることはない。
代わりに、交代制で浅い眠りを取りながら夜を過ごします。
こうした共同体的な夜の過ごし方は、「守り合う眠り」ともいえます。
安全の確保と社会的なつながりが、睡眠そのものを支えているのです。

4. 現代化がもたらす変化
都市部のナイロビやモンバサでは、電化と24時間社会の進展によって、睡眠時間は短縮傾向にあります。ケニア国立統計局(KNBS)の調査によると、都市居住者の平均睡眠時間は6.3時間で、農村部(約7.4時間)より1時間以上短い。スマートフォンや夜間照明の普及で、かつての“自然と共に眠る生活”は急速に失われつつあります。
その一方で、国内の医療機関や大学では「Sleep and Well-being」をテーマにした研究が進み、都市生活者の睡眠不足やストレス対策として、「伝統的な睡眠リズムの再評価」が始まっています。
まとめ
ケニアの遊牧民たちは、眠りを「自然との調和の一部」として捉えています。
● 太陽や月に合わせた自然リズム型の睡眠
● 複数回に分けて眠る多相睡眠
● 共同体の安全を守る協調的な眠り
この考え方は、人工光や情報に囲まれた私たち現代人に、“眠りの原点”を思い出させてくれます。
文明の便利さを持たない代わりに、人々は“自然に委ねる力”と“つながりの中で眠る安心”を大切にしてきました。
忙しさと人工的な光に満ちた現代社会にこそ、ケニアの「自然と共に眠るリズム」から学ぶことが多いのではないでしょうか。
眠る時間を削って働くよりも、自然の流れに体を委ねる——
それが、心と体の回復力を最大限に引き出す秘訣なのかもしれません。
眠りを整えるためには寝具選びもとても重要です。
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参考文献・資料
- Kenya National Bureau of Statistics (KNBS).
Kenya Urban–Rural Sleep Patterns Survey. (2023)
- University of Nairobi – Department of Anthropology.
Nomadic Sleep Practices and Environmental Adaptation. (2022)
- World Health Organization (WHO) Africa Office.
Sleep, Light Exposure, and Circadian Health in Sub-Saharan Africa. (2021)
- BBC Africa.
The Maasai Way of Life: Living and Sleeping with Nature. (2022)
- Nature Human Behaviour.
Segmented Sleep in Pre-Industrial and Nomadic Societies. (2019)

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