Katrina Aubrey は、ニュージーランドを拠点に活動する睡眠・呼吸生理学技師、ファティーグ(疲労)コンサルタント。23年以上の医療現場での経験を活かし、企業向けの睡眠・疲労管理セミナー「Alert at Work」を提供。特に運輸業界など24時間体制の職場で、健康・安全(HSWA 2015法)に基づく疲労リスクの軽減を支援している。職業健康診断や睡眠障害の検査、個別相談も行い、睡眠・安全・パフォーマンスの重要性を伝えている。
寝るときに靴下を履く?見逃されがちな快眠ハック
この記事は Why Wearing Socks to Bed Could Be the Sleep Hack You’ve Been Missing
の翻訳転載です。著者の Katrina Aubrey さんの許可を得て公開しています。
目次
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寝るときに靴下を履く?見逃されがちな快眠ハック
はじめに
秋の訪れとともに、私たちは服を重ね、暖房を使用し、温かい飲み物で体を温めようとします。しかし、寒い季節において意外と見過ごされがちな「靴下」というアイテムが、睡眠の質を向上させる鍵となる可能性があります。
寝るときに靴下を脱ぐ習慣を持つ人は多いかもしれませんが、実はこの行動が入眠を妨げ、睡眠の質に影響を与えている場合があります。睡眠と疲労の専門家として、科学的根拠に基づき、誰にでも簡単に取り入れられる実用的な方法を模索する中で、「就寝時に靴下を履く」というシンプルな習慣が注目されています。
この方法は単に防寒のためではなく、体温調節を助けるという役割があります。
靴下を履くことで入眠が促される理由
人間の体は、深部体温がわずかに低下することで「休息の時間が来た」と認識します。靴下を履くことで足元の血管が拡張し、血流が促進されます。これにより熱が体の外へ放出され、深部体温の低下が促されます。
足を温めることで脳に「入眠の準備が整った」という信号が送られ、自然な形で入眠を促す効果が期待できます。
睡眠の深さにも効果が期待できる
靴下を履く習慣は、入眠だけでなく夜間の覚醒を減らし、睡眠の持続性を高める効果もあります。足の温度が安定することで、夜間の体温低下による目覚めを防ぎ、より安定した睡眠が得られます。特に、就寝中に足が冷えて目が覚めやすい人にとって有効です。
足元を温めることで末端からの熱損失が抑えられ、体温調節がスムーズに行われるため、体が適切な温度帯を保つことができます。
靴下で暑くなりすぎる心配は?
「靴下を履くことで暑くなりすぎないか」と懸念する人もいるでしょう。しかし実際には、靴下による血流促進と体温調節によって、体が過剰に冷やす必要がなくなり、むしろ快適な温度に保たれることが多いです。
それでも暑さが気になる場合は、寝具やパジャマ、マットレスの素材に原因がある可能性があります。通気性や吸湿性に優れた素材を選び、寝室の温度を適切に保つことが推奨されます。
靴下が苦手な人への代替策
靴下の着用に抵抗がある場合は、以下のような代替方法で同様の効果が期待できます。
・就寝前に足湯を行う
・布団の足元に湯たんぽを置く
・足元にのみ追加のブランケットを使用する
これらの方法は、足元を温めつつ深部体温の低下を促す効果があり、靴下を履くことに抵抗がある人でも取り入れやすい選択肢です。
睡眠用に適した靴下の選び方
就寝時に靴下を使用する場合は、以下の条件を満たすものが適しています。
・通気性のある素材(コットン、バンブー、カシミアなど)
・抗菌性に優れていること
・締め付けがなく血流を妨げないゆったりとした作り
・寒冷時に適度な保温性がある厚み
まとめ
不眠や夜間の中途覚醒、朝の疲労感に悩んでいる場合、「就寝時に靴下を履く」という小さな習慣の変化が、睡眠の質向上につながる可能性があります。
季節の変わり目に生活リズムを見直すタイミングとして、このシンプルな方法を取り入れてみることをおすすめします。
小さな工夫が、より良い睡眠、そして日中のパフォーマンス向上につながるでしょう。
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